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執筆者の写真雅 -masa-

音叉セラピストの見た音の風景 vol.3 /中世から近世への音楽と音楽療法の変遷

更新日:1月5日

中世(およそ500年~1400年)ー 宗教音楽の調べ


中世の音楽は主に宗教的であり、グレゴリオ聖歌やリュートの響きが教会や修道院で響き渡りました。


モノフォニー(単旋律)を主流とし、ネウマと呼ばれる初期の楽譜の使用されるようになります。


音楽は宗教的儀式で重要な役割を果たし、心の平静を提供しました。


・主な作曲家


ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098年~1179年)

中世初期に活動した修道女であり、グレゴリオ聖歌を基にした宗教音楽を作曲しました。その作品は神秘的で宗教的な性格を持っています。


・主に使われた楽器


リュート・・・中世初期から広く使われた弦楽器で、数本の弦を持ち、指で弾くことができました。宮廷や教会の音楽でよく使用されました。


フィドル・・・弓で弦をこすることで音を出す弦楽器で、中世の舞踏音楽や民俗音楽でよく用いられました。形状や構造は地域によって異なりました。


シタール・・・ペルシャ発祥の楽器で、弦楽器の中でも特に複雑な構造を持ちます。中世のヨーロッパでは、アラビアの文化を介してシタールの影響が広まりました。


・音楽療法の視点


宗教音楽が信仰心を高め、精神的な安定を促進し、また、楽器や旋律が感情の表現やリラクゼーションに活用された。


※日本の楽器と音楽文化


琵琶 (びわ)・・・弦楽器で、中世の宮廷音楽や雅楽で用いられました。和歌や語りに伴奏され、物語の舞台となることもありました。


篳篥 (ひちりき)・・・竹でできた管楽器で、雅楽や宗教音楽で使われました。その音色は神聖視され、儀式や祭りの際に頻繁に演奏されました。



ルネサンス期(およそ1400年~1600年)ー ポリフォニーの新たな風


ルネサンス期には、ポリフォニー(複数の旋律が同時に進行する形式)が発展し、音楽はより豊かで複雑な構造を持つようになりました。


また、社交や宮廷での娯楽となり、個々の感情表現が重視されました。


・主な作曲家


ジョスカン・デ・プレ (1440年 - 1521年)

フランダース楽派に属する作曲家で、多声音楽の先駆者の一人。ポリフォニー(複数の旋律が同時に進行する形式)を発展させ、宗教音楽や世俗音楽の両方で活躍しました。


オルランド・デ・ラス (1474年 - 1531年)

フランドール楽派出身の作曲家で、ジョスカン・デ・プレと同時代の重要な人物。ミサ曲やモテット、シャンソンなど、幅広いジャンルで作品を生み出しました。


・主に使われた楽器


ヴィオラ・ダ・ガンバ・・・ルネサンス期に登場した弦楽器で、ギターに似た形状をしています。通常、膝の上に置いて演奏され、宮廷音楽や宗教音楽で広く使用されました。


ハープシコード・・・鍵盤楽器で、絃を弾く代わりに羽根で弾く仕組みを持っています。音量の調整が可能で、宮廷音楽や宗教音楽で愛用されました。


・音楽療法の視点


ポリフォニーが感情の多様性を表現し、個人の感情を理解・共有する手段となり、また、宮廷音楽が心の安定と社交性を促進しました。


※日本の楽器と音楽文化


三味線 (しゃみせん)・・・中世から近世にかけて発展した撥弦楽器で、主に民衆の間で広く親しまれました。歌舞伎や民謡などで活用されました。


尺八 (しゃくはち)・・・木製の笛で、主に宗教的な儀式や禅宗の修行において使用されました。後に能や狂言の伴奏楽器としても重要な位置を占めました。



バロック期(およそ1600年 - 1750年) ー 音楽の新たな展望


バロック期には、ヴォカリーズやオペラの発展が見られ、オーケストラや宗教音楽において新たな表現が試みられました。


音楽は感情の表現手段として更に重要視され、複雑な構造になっていく中、リラクセーションや癒しの手段としても注目を浴びました。


・主な作曲家


ヨハン・セバスティアン・バッハ (1685年 - 1750年)

バロック音楽の巨匠で、ドイツの作曲家。オルガンやクラヴィーアの演奏家としても知られ、宗教音楽や管弦楽曲、室内楽など多岐にわたる作品を残しました。


アントニオ・ヴィヴァルディ (1678年 - 1741年)

イタリアのバロック作曲家で、ヴァイオリン協奏曲「四季」が特に有名。彼の作品は劇的で感情豊かな特徴を持ち、バロック期の音楽の中でも際立っています。


・主に使われた楽器


バロック・ヴァイオリン・・・フィドルに類似しながら改良され、現代のバイオリンの原型となった楽器です。バロック音楽の主要な弦楽器として頻繁に使用されました。


フルート・トラヴェルソ・・・フルートの一種で、バロック期に人気を博しました。現代のフルートとは異なる構造を持ち、宮廷音楽や宗教音楽でよく演奏されました。


・音楽療法の視点


リラクセーションや感情調整に有益とされ、音楽療法に組み込まれ、また、宗教音楽が信仰を高め、心の平安をもたらす役割を担っていました。


※日本の楽器と音楽文化(古典派期まで)


琴 (こと)・・・13弦の撥弦楽器で、江戸時代になると庶民の音楽でも広く親しまれました。江戸時代後期には三味線と共に民謡や俗曲の伴奏楽器として利用されました。


津軽三味線 (つがるさみせん)・・・北日本の津軽地方で発展した三味線のスタイルで、独自の奏法や調弦があります。津軽民謡の伴奏楽器として有名です。


和太鼓(わだいこ)・・・祭りや行事、芝居の音楽など多岐にわたって使用され、その芸術性が高まりました。江戸時代末期には、歌舞伎や浄瑠璃の舞台でも和太鼓が使われ、その音色やリズムが重要な役割を果たしました。



古典派期 (およそ1730年 - 1820年) ― 豊かな旋律


古典派では対位法の進化や構造的な明瞭さが特徴で、豊かな旋律や情熱的な表現がさらに顕著になっていきました。


・主な作曲家


ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1756年 - 1791年)

ウィーン古典派の代表的な作曲家で、幼少から才能を発揮。オペラ、宗教音楽、室内楽、交響曲など、あらゆるジャンルで豊富な作品を残しました。


ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770年 - 1827年)

古典派からロマン派への移行期に活躍。交響曲やピアノソナタ、弦楽四重奏曲など、革新的で情熱的な作品を生み出し、後の音楽に大きな影響を与えました。


・主に使われた楽器


フォルテピアノ・・・ピアノの原型であり、ハープシコードよりも音量の変化が容易でした。古典派の作曲家たちによって多くの作品で使用されました。


クラリネット・・・木管楽器で、古典派期に発展しました。多くのオーケストラや室内楽曲で使用され、モーツァルトやベートーヴェンなどの作曲家が愛用しました。


・音楽療法の視点


音楽の構造が認知機能の向上に寄与するとされ、また、感情の表現としての音楽がリラクセーションやストレス軽減に効果的とされる。

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