ロマン派音楽 (1820年 - 1910年)
ベートーヴェン、ショパン、リスト、ワーグナーなどが登場し、感情表現や個性的な作風が重要とされました。
音楽の技術と表現が進化し、交響詩やオペラなどが隆盛を極めました。
・音楽療法の視点
精神病患者の治療に音楽が用いられるようになります。
フィリップ・ピネルやウィリアム・トゥークスらが、音楽が精神障害者の症状緩和に寄与するとの観察を行い、音楽の効果に注目しました。
※日本の音楽文化
日本の伝統音楽である雅楽や民謡が重要な位置を占めます。
雅楽は宮廷音楽として続けられ、民謡は地域ごとに異なるスタイルで歌い継がれていました。
1800年頃の日本は、外圧や社会的な不安が渦巻く中で、幕末の動乱へと続く転換期の出来事が重なります。
西洋音楽が紹介され、学校や軍楽隊、宮廷での演奏が行われ、西洋楽器の普及や合唱団の創設が進み、西洋音楽が徐々に日本の音楽シーンに組み込まれていきます。
20世紀初頭の革新 (1900年 - 1950年)
第一次世界大戦などの影響で自然主義否定のアブストラクト(抽象主義)、シュール・レアリズム(超現実主義)などの芸術運動に見られた発想の自由を根底とし、音楽も変容し、抒情性や革新性が求められます。
アヴァンギャルド(前衛的、先駆け、革新的)の動きが生まれ、音楽の概念が拡張され、ジャズやブルースが発展し、ポピュラー音楽の基盤が築かれていきます。
・音楽療法の視点
アメリカやヨーロッパで音楽療法が組織化され、専門的な分野として確立され始めました。第一次世界大戦以降、戦争の傷跡を癒すために音楽療法が活用され、戦傷兵へのリハビリテーションや心的なケアにおいて、音楽が有益であることが実践的に示されました。
第二次世界大戦後には、脳科学や心理学の進展とともに音楽療法の理論と実践が発展し、専門的なプロフェッションとして確立され、大学での教育が始まりました。
音楽療法は、身体的な障害、発達障害、心理的な問題に対して効果があるとして、広く受け入れられます。
ポピュラー音楽の隆盛 (1950年代以降)
ロックンロール、ポップ、ヒップホップなど、様々なジャンルが登場し、音楽の多様性が増加しました。
・音楽療法からの視点
専門的な研究と実践が進み、心理学、神経科学、教育学などの分野も音楽療法に結びつき、多様な臨床的なアプローチが展開され、現在の音楽療法の基礎となる”同質の原理と異質への転導”(詳細はvol.5へ)のプロセスが採用されます。
電子音楽とデジタル時代 (1960年代以降)
シンセサイザーの登場や電子音楽の発展があり、デジタル技術の進化とともに新しい音楽表現が生まれました。
世界音楽の普及 (20世紀末 - 現在)
グローバルなコミュニケーションの向上に伴い、世界中の音楽が相互に影響を与えるようになりました。
・音楽療法からの視点
現代においては、音楽療法はさまざまな側面で応用されています。
精神医療、心理療法、リハビリテーション、特別教育など、特に精神保健領域で広く利用され、臨床的なアプローチとしても確立されています。
また、高齢者や認知症患者へのアプローチとしても注目を集めています。
国際的な組織や専門家が音楽療法の標準を確立し、その有益性が広く認識されています。
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